タイで結婚する、子どもを産む、子どもを学校に通わせる。どれも日本の戸籍とタイの登録の両方に届け出るものが多く、出生届の期限を過ぎると子どもが日本国籍を失うことまである。この章では、結婚・出産・子どもの国籍・学校・ビザを、手続きの順番に並べた。
だれと、どこで結婚するかで手続きが変わる
| ふたり | 先に結婚を成立させる場所 | そのあと |
|---|---|---|
| 日本人とタイ人 (タイ方式) | タイの郡役所 | 3か月以内に、日本へ婚姻届(大使館か市区町村役場) |
| 日本人とタイ人 (日本方式) | 日本の市区町村役場在タイ日本国大使館では受け付けない | タイの郡役所に届け出て、家族状態登録簿(コー・ロー22)に載せる |
| 日本人どうし | 在タイ日本国大使館か、本籍地の役場 | 大使館が受け取った日に結婚が成立する |
結婚したあとのビザ(タイ人の配偶者の Non-O)は 配偶者・家族のビザ に。
タイ方式 — 先にタイの郡役所で結婚する
先にタイの郡役所で結婚を登録し、あとから日本に届け出る流れ(タイ方式)。在タイ日本国大使館の案内では、手続きが終わるまでに1週間ほどかかる。日本人本人が大使館と郡役所に行く必要があるので、滞在に余裕を持っておく。
「独身証明書(婚姻要件具備証明書)」と「結婚資格宣言書」。戸籍謄本(3か月以内。婚姻歴があれば前の戸籍も)、住民票(タイ在住なら在留届で確認)、在職証明書と所得証明書(無職なら不要)、パスポートなどを出す。窓口はオンライン予約制で、交付は原則3営業日後、受け取りは本人。
バンコクのジェーンワタナ通りにあるタイ外務省領事局(国籍・認証課)で、2つの証明書とタイ語訳に認証を受ける。
受理されると「婚姻登録証」が出て、タイでの手続きは終わり。郡役所で求められるほかの書類は、届け出る役所に確かめる。
大使館か日本の市区町村役場に、婚姻届・婚姻登録証と住居登録証(それぞれ原本・コピー・和訳)を出す。大使館経由だと戸籍に載るまで1か月半〜2か月、役場に直接なら1週間ほど。
日本方式 — 先に日本で婚姻届を出す
タイ人の側は、郡役所が出す独身証明書、タイ外務省の認証つきの居住証明などに和訳をつける。タイの独身証明書は日本の「婚姻要件具備証明書」の代わりにならないため、申述書を求める役場もある。和訳は訳した人の名前を書けばよく、大使館の認証は要らない。代理人でも出せる。要る書類は役場によって違うので、出す役場に先に確かめる。
戸籍謄本(3か月以内)を出す。代理でも申請できる。
タイの「家族状態登録簿」(コー・ロー22)に載る。タイで先に結婚したときに出る「婚姻登録証」は出ない。登録の証明は申請しないと出ないので、何部か取っておくとよい。
日本人どうしで結婚する
タイに住んだまま、在タイ日本国大使館に婚姻届を出せる。本籍地の役場へ直接持っていくか、郵送してもよい。
- 婚姻届2通戸籍謄本は2024年4月から原則として要らない
- 成人の証人2人の署名証人が大使館に来る必要はない
同性どうしの結婚
タイでは2025年1月23日から、同性どうしの結婚も法律上の婚姻になった(民商法典の改正)。入管の延長の基準にも「多様な性の婚姻」が明記されている。
一方、日本では同性どうしの婚姻届は受理されない(政府の答弁書)。タイで結婚しても、日本の戸籍には載らない。
夫婦の財産と、タイの土地
出典: 在タイ日本国大使館「日本人とタイ人の婚姻手続(タイ方式)」/同「(日本方式)」/同「日本人同士の婚姻届」/タイ政府広報局(同性婚の施行)/衆議院 答弁書(2018年5月11日)/在スウェーデン・タイ大使館(土地を買うときの確認書)/民商法典1466条などは法律事務所の英訳による(2026年10月6日確認)
産んでから3か月のうちにすること
病院が出す出生の証明(ท.ร.1/1)。郡役所への届出に使う。
病院の出生の証明と、届け出る親の身分証などを持っていく。遅れると1,000バーツ以下の罰金。要る書類は届け出る役所で確かめる。
生まれた日を含めて3か月以内(戸籍法49条)。両親とも日本人なら、医師が作った英文の出生証明書をつける。親の片方がタイ人なら、郡役所の出生登録の証明と和訳をつける。
子がタイ国籍も持つとき(親の片方がタイ人)は、届書の「日本国籍を留保する」欄に必ず署名する。
新しく作るには戸籍謄本(6か月以内)か電子戸籍が要るので、出生が戸籍に載るのを待つ。交付まで約1か月(日本で作るため短くできない)。急いで帰国するときは「帰国のための渡航書」を申請できる。
外国籍の子の滞在のしかたは、親のビザによって違う。生まれたら早めに入管で確かめる。出国するときは出生証明書を見せる。
子どもの国籍
出産の費用
| 病院のパッケージ | 自然分娩 | 帝王切開 |
|---|---|---|
| サミティベート (スクンビット) | 110,000バーツ3泊 | 135,500バーツ4泊 |
| バンコク病院 (本院) | 110,400バーツ2泊 | 151,800バーツ3泊 |
各病院の出産パッケージ(どちらも2026年12月31日まで)。サミティベートはタイ人とタイに住む人が対象。
出典: 在タイ日本国大使館「出生届」/同「国籍」/同「旅券」/タイ内務省地方行政局(出生の登録)/タイ国籍法(英訳)/サミティベート病院/バンコク病院/協会けんぽ(海外での出産)(2026年10月6日確認)
日本人学校・インター校・タイの学校
どこに通わせるかで、住む場所も、子どものビザも決まる。学校を先に決めて、そこへ通える街に住むのが順番。スマホでは表を横に送れる。
| 日本人学校(泰日協会学校) | インターナショナルスクール | タイの学校 | |
|---|---|---|---|
| 授業 | 日本の教育課程。小学部・中学部。文部科学省が認めた在外教育施設 | 英語。英国式・国際バカロレアなど学校ごとに違う | タイ語 |
| 学費 | 授業料が年146,000バーツ、入学金160,000バーツ2026年度。PTA の会費は別 | 授業料が年およそ50万〜126万バーツ下の表。入学金などは別 | 学校による |
| 入れる子 | 日本国籍の子(学校が認めればそれに準じる子も)。ツーリストビザ以外で合法に住み、授業についていける日本語の力があること | 学校ごとの入学審査 | 国籍や住民登録に関係なく入れる(2005年の閣議決定。2025年にも確認) |
| 場所 | バンコク校(ラマ9世通り、約1,960人)とシラチャ校(約400人) | バンコクとその周り、チェンマイ・プーケットなど | 全国 |
インター校の授業料の例(2026/27年度・各校の公式)
| 学校 | 年間の授業料 | 入るときに払うもの |
|---|---|---|
| ISB(インターナショナル・スクール・バンコク) | 659,000〜1,197,000バーツ | 登録料260,000バーツ、年会費22,000バーツ |
| バンコク・パタナ | 515,000〜1,014,000バーツ | 入学金250,000バーツ、デポジット50,000バーツ |
| シュルーズベリー | 696,300〜1,256,700バーツ | 入学の確約金225,000バーツ、返金されるデポジット225,000バーツ |
日本の教科書と補習校
日本国籍(二重国籍も)の義務教育の年の子は、大使館で日本の教科書を無料で受け取れる。1年以上住む予定で在留届を出していて、永住者でないことが条件。申込みは9月と3月。日本人学校の子は学校がまとめて申し込む。
日本政府の支援を受ける補習授業校(土曜)は、タイではプーケットとチェンマイにある。バンコクにはない。
日本へ戻るとき
高校の帰国生の編入は、2013年の文部科学省の通知で、親の転勤以外の理由で帰国した子にも道が広がった。帰国生を受け入れる学校の情報は、海外子女教育振興財団(JOES)がまとめている。
海外子女教育振興財団(JOES)出典: 泰日協会学校「入学のご案内」(2026年度)/在タイ日本国大使館「教育」/同「教科書の無償給与」/外務省「在外教育施設」/ISB・バンコク・パタナ・シュルーズベリーの学費/タイ政府広報局(外国籍の子の就学)/文部科学省(帰国生の高校編入)(2026年10月6日確認)
親のビザで決まる
出典: 各ビザのページ/Thailand Privilege「家族の会員」(2026年10月6日確認)