タイ ビザ・移住 完全ガイド

税金・節税

LIVING IN THAILAND — VISAS & MOVING — วีซ่าและการใช้ชีวิตในไทย

観光でタイを好きになった人が、住むと決めたら/2026年9月25日時点の公式情報

日本からタイに移ると、日本では「非居住者」になり、タイでは1年に180日以上いれば「居住者」になる。税の負担が軽くなる人は多い。住民税がなくなり、最高税率が下がり、国外のお金はタイに持ち込まなければタイで課税されない。一方で、日本の年金・出国税・相続の10年ルールのように、移っても日本の税金が残るものもある。この章では、移住で何が変わるのかを、メリットと落とし穴の両方から説明する。

移住で、税金はどう変わるか

日本に住んでいるとき・タイに移ったあと

スマホでは表を横に送れる。

日本に住んでいるときタイに移ったあと
課税される所得世界中の所得日本:日本で生じた所得だけ
タイ:タイの所得と、タイに持ち込んだ国外の所得
所得税の最高税率45.945%(復興特別所得税こみ)タイ 35%
住民税10%なし(12月31日までに転出すれば翌年度から)。タイには地方の所得税がない
合わせた最高税率約55.9%35%
株の売却益20.315%タイの上場株は非課税。日本株は日本では原則として課税されない(タイに持ち込めばタイで課税)
配当・利子20.315%タイ株の配当10%・タイの預金利子15%の源泉で終わりにできる。日本の配当・利子は日本で15.315%
メリット — 移住で軽くなるもの

日本から移る人が受けられること

住民税がなくなる
住民税は1月1日に住所がある自治体がかける。12月31日までに転出すれば、翌年度から住民税(所得の10%)がかからない出国した年の分(前年の所得の分)は払う
税率が下がる
日本は所得税と住民税で最高約55.9%。タイは最高35%で、地方の所得税もない
移住前のお金は非課税
タイに居住者でなかった年(移住前に日本で得た分など)の所得・貯金、2023年以前に得た所得、投資の元本は、あとでタイに持ち込んでも課税されない
持ち込まなければ課税されない
2024年以降の国外の所得も、タイで課税されるのはタイに持ち込んだ年に、持ち込んだ分だけ。国外に置いておくぶんには、タイの税金はかからない
日本株の売却益
非居住者になると、日本の上場株を売った利益は原則として日本で課税されない例外は、発行済み株式の25%以上を持つ人の大口の売却や、不動産を多く持つ会社の株など
タイの投資
タイの上場株(SET)を取引所で売った利益は非課税(売るときに金融取引税0.11%)。配当は10%、預金利子は15%の源泉で終わりにできる。タイの認可業者を通した暗号資産の売却益は、2025〜2029年は非課税(省令399号)
LTR ビザ
富裕層・富裕年金受給者・タイから働く専門職の LTR は、持ち込んだ国外所得も非課税。高度専門職は、対象産業の会社の給与に17%の税率で終わるLTR のページ
年金暮らしの控除
タイで申告するときは、65歳以上なら19万バーツまで非課税、年金の50%(上限10万バーツ)の控除、本人の控除6万バーツなどがある
落とし穴 — 移っても残る税金

日本の税金は、思ったより追いかけてくる

日本の年金
タイに住んでも、日本で20.42%が源泉徴収される(年金の額から、月5万円・65歳以上は月9.5万円を引いた額に)。日本年金機構の「届け出れば日本の源泉が免除される国」に、タイは入っていない(フィリピン・マレーシア・ベトナムなどは入っている)日タイ租税条約に年金の条項がなく、日本もタイも課税できる。タイに持ち込めばタイでも課税され、日本で払った分を差し引く
出国税
株などの有価証券が1億円以上あり、出国前10年のうち5年を超えて日本に住んでいた人は、出国のときに含み益に課税される(国外転出時課税)手続きをすれば納税を5年(延長で10年)待ってもらえ、その間に帰国すれば取り消せる
出国した年の住民税
前年の所得の分は払う。納税管理人を決めて届けるか、出国前に納める
日本で生じる所得
日本の不動産の家賃、日本の会社の役員報酬、日本での勤務の給与は、移ったあとも日本で課税。不動産の家賃は日本で確定申告が要る
「183日」では決まらない
日本の居住者かどうかは、生活の本拠(住まい・仕事・家族・資産)で決まる。国税庁は「外国に1年の半分以上いても日本の居住者になる場合がある」と明記している。日本に家族と家を残すと、居住者のままになりうる
NISA
転勤など会社の命令による出国でなければ、出国の日に NISA 口座はなくなり、中身は課税される口座に移る。非居住者の取引を止める証券会社もある
国外の所得の改正案
「国外の所得は、得た年か翌年までに持ち込めば非課税」とする案は、2026年9月時点で成立していない。いまは、持ち込んだ年に最高35%で課税される
口座の情報は届く
タイは2023年から、金融口座の情報を各国と自動で交換する仕組み(CRS)に加わっている。日本の報告の対象国にもタイが入っている
両国の居住者
日本とタイの両方で居住者とされたとき、日タイ条約には自動で決めるルールがなく、両国の当局の協議で決まる。どちらの居住者なのかを、はっきりさせておく
保険と年金
住民票を抜くと国民健康保険を抜け、国民年金は任意加入になる。日本とタイの間には社会保障協定がない
タイの所得税

だれが、どの所得に

居住者
1月1日〜12月31日に通算180日以上タイにいた人。国籍は問わない年をまたぐ滞在は年ごとに数える。たとえば年末の100日と翌年の150日なら、どちらの年も居住者ではない
タイの所得
タイで得た給与・家賃などは、居住者でなくても課税
国外の所得
次の3つがそろうと、持ち込んだ年に課税される(歳入局の命令 ป.161・ป.162)
① 2024年1月1日以降に生じた所得
② 生じた年にタイの居住者だった
③ その年かそれ以後にタイに持ち込んだ
課税されない持ち込み
2023年以前の所得、居住者でなかった年の所得、投資の元本(利子や利益の部分は課税)、父母・子・配偶者からの扶養や相続のお金(年2,000万バーツまで)

税率(個人所得税)

課税される所得(年)税率
15万バーツまで0%
15万〜30万バーツ5%
30万〜50万バーツ10%
50万〜75万バーツ15%
75万〜100万バーツ20%
100万〜200万バーツ25%
200万〜500万バーツ30%
500万バーツを超える分35%

超えた分にだけ高い率がかかる(累進)。日本で払った税金は、日タイ租税条約でタイの税金から差し引ける。

日本の税金 — 非居住者になったら

日本で課税され続けるもの

所得日本での扱い(非居住者)
日本の公的年金20.42%の源泉徴収(月5万円、65歳以上は月9.5万円を引いた額に)
日本の不動産の家賃20.42%の源泉徴収(借り主が個人の自宅用なら除かれることがある)と、確定申告
日本の会社の役員報酬・日本での勤務の給与20.42%の源泉徴収
日本の上場株の配当・預金の利子15.315%の源泉徴収
日本の上場株の売却益原則として課税されない(大口の売却などは例外)
退職金20.42%の源泉徴収。申告すれば、居住者と同じ退職所得の控除を使って還付を受けられる(選択課税)

出国の前にすること

  • 納税管理人を決めて、税務署に届ける出国の日までに。届けないなら、出国までに申告と納税を済ませる
  • 出国した年の住民税の払い方を、市区町村と決める
  • 有価証券が1億円以上あるなら、出国税の申告と納税猶予を準備する
  • 証券会社・銀行に非居住者になることを届け、NISA と口座の扱いを確かめる
  • 年金の受け取り口座と、国民年金の任意加入を決める(🏠 日本側でやること)

出典: 国税庁 No.2012 居住者・非居住者の判定/同 No.2884 非居住者への源泉徴収税率/同 No.1478 国外転出時課税/同 No.2260 所得税の税率/同 納税管理人の届出/同 退職所得の選択課税/総務省 個人住民税/日本年金機構「海外に住む方の年金」と租税条約の国の一覧(令和7年1月)/日タイ租税条約/タイ歳入局 ป.161・ป.162 の Q&A/同 個人所得税の税率/勅令743号(LTR)/国税庁 CRS の報告対象国。NISA・タイの年金の控除・金融取引税・暗号資産・改正案の状況は、証券会社と会計・法律事務所の資料と報道による(2026年10月6日確認)

相続と贈与

日本の相続税の「10年ルール」

日本の相続税は最高55%。タイに移っても、日本国籍なら亡くなった人と受け取る人のどちらかが、亡くなる前の10年以内に日本に住んでいれば、タイの財産も含めて世界中の財産に日本の相続税がかかる。日本の財産だけで済むのは、ふたりとも10年を超えて国外に住んでいるときだけ。贈与税も同じしくみ。

亡くなった人(親)と、受け取る人(子)日本の相続税がかかる財産
親が日本に住んでいる世界中の財産
親がタイに移って10年以内世界中の財産
子が日本に住んでいる、または10年以内に住んでいた世界中の財産
親も子も、10年を超えて国外に住んでいる日本にある財産だけ
留学や出張のような一時的な不在は、日本に住所があるものとして扱われる。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」、税率は10〜55%。申告は亡くなったことを知った翌日から10か月以内で、国外に住む相続人は納税管理人を届ける。

タイの相続税と贈与税

相続税
1人の亡くなった人から受け取る額が1億バーツを超える分に10%(父母・子などの直系は5%)。配偶者は非課税2016年2月から。対象は不動産・証券・預金・登録された車など。受け取ってから150日以内に申告
かかる人
タイ国籍の人と、入管法上の居住(永住など)を持つ外国人は世界中の財産。それ以外の外国人は、タイにある財産だけ
贈与税
父母・子・配偶者からの贈与は年2,000万バーツまで非課税。それ以外の人からの冠婚葬祭などの贈与は年1,000万バーツまで。超えた分は5%

移住で変わること

  • 親も子も10年を超えて国外に住めば、日本の相続税は日本にある財産だけになる
  • タイの相続税は1億バーツまでかからず、税率も5〜10%(日本は10〜55%)
  • タイでは、家族からの贈与が年2,000万バーツまで非課税
10年は長く、子が日本に住んでいれば年数に関係なく世界中の財産が対象。日本とタイの間には相続税の条約がなく、両国でかかることがある(日本では、タイで払った相続税を国外の財産の分だけ差し引ける)。

相続・贈与のときの出国税

日本に住む親が、株などの有価証券を1億円以上持っていて(過去10年のうち5年を超えて日本に住んでいたとき)、亡くなったり贈与したりしてタイに住む子がその株を受け取ると、含み益に所得税がかかる(国外転出(相続・贈与)時課税)。相続のときは4か月以内に準確定申告をする。手続きをすれば納税を5年(延長で10年)待ってもらえ、その間に子が日本に戻れば取り消せる。

タイに財産を残して亡くなったら

どちらの国の法律で分けるか

日本の法律
相続は、亡くなった人の本国の法律、つまり日本の法律による(法の適用に関する通則法36条)
タイの法律
コンドや土地は、ある場所の法律(タイ法)。預金などは、亡くなったときに住んでいた所の法律(タイの抵触法37・38条)
そのため
タイの不動産と、タイに住んでいた人のタイの預金は、タイの法律で分けられ、日本とタイで結論が食い違うことがある法律事務所の解説では、タイの法定相続では親も子と並んで相続人になり、配偶者の取り分は子1人分と同じ

家族がすること

郡役所(バンコクは区役所)で死亡登録証を取る

原本は再発行できない。亡くなった時刻(時・分)まで書いてもらう。書かれていないと相続の手続きに差し支えることがあると、大使館が注意している。

3か月以内に、日本へ死亡届を出す

大使館経由だと戸籍に載るまで1か月以上かかる。本籍地へ直接出すこともできる。日本の相続放棄の期限(3か月)と相続税の申告期限(10か月)も、ここから数える。

タイの裁判所で遺産管理人を選んでもらう

タイの銀行口座は凍結され、裁判所の命令がないと払い戻しも名義の書き換えもできない。相続人が国外にいることも、申し立ての理由になる。検察庁(OAG)に頼めば申し立ては無料(裁判所の手数料200バーツは別)。全体で数か月かかる(法律事務所の目安で4〜8か月)。

コンドや土地の名義を移す

外国人の相続人は、条件に当たらなければコンドを1年以内に売る必要がある、と法律事務所は解説している(コンドミニアム法19条の7)。土地は大臣の許可がなければ、決められた期間(180日〜1年)のうちに処分する(土地法93・94条)。

タイの財産には、タイの遺言を

日本の公正証書遺言も、方式としてはタイで認められうる。ただしタイの裁判所で使うには、翻訳、日本の外務省の公印確認、在日タイ大使館の領事認証(タイはアポスティーユ条約に入っていない)と審理が要り、時間がかかる。そのためタイの財産だけを対象にしたタイの遺言を別に作っておくことを、複数の法律事務所が勧めている。遺言で遺産管理人を決めておけば、裁判所はその人を選ぶ。

ふつうの方式
書面に日付を入れ、証人2人の前で署名する(民商法典1656条)
自筆の遺言
全文・日付・署名を自分で手書きする。証人は要らない。タイプ打ちは不可(1657条)
郡役所で作る
公文書の遺言。1通50バーツ(1658条)
遺言で財産を受け取る人とその配偶者は、証人になれない。海外に住む日本人も、日本の大使館・総領事館で公正証書遺言を作れる(民法984条)。

出典: 国税庁 No.4138 相続税の納税義務者/同 No.4432 贈与税の納税義務者/同 No.4155 相続税の税率/同 No.4152 基礎控除/同 No.1468 国外転出(相続)時課税/法の適用に関する通則法/タイ相続税法(歳入局の英訳)/タイ歳入局 贈与の課税/在タイ日本国大使館「死亡届」/タイ検察庁(遺産管理人の申し立て)/タイ内務省地方行政局(遺言)/外務省(アポスティーユ)。抵触法・コンドミニアム法・土地法の扱いと手続きの期間は、法律事務所の解説による(2026年10月6日確認)

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このガイドは2026年9月25日時点の次の公式情報にもとづく。
タイ外務省 e-Visa(thaievisa.go.th)/在東京タイ王国大使館/タイ入国管理局(入管命令 第12/2568号ほか)/ タイ投資委員会(LTR・SMART)/Thailand Privilege/在タイ日本国大使館