ビザ免除30日でも緊急就労は可能 雇用局が方針確認、15日届の手順
2026年9月15日からタイの観光ビザ免除措置が従来の60日間から30日間に短縮され、入国目的が観光に厳格化されたことを受け、日系企業をはじめとする現地法人の間で出張者による短期業務の取り扱いについて混乱が広がっていたが、タイ労働省雇用局(DOE: Department of Employment)は、30日間のビザ免除枠で入国した外国人であっても、緊急かつ一時的な業務に限り最大15日間の緊急就労届(UWP: Urgent Work Notification)の利用が可能であるとの公式運用指針を確認した。
緊急就労届は、タイの外国人就労管理法令に基づき、工場の生産ライン停止に伴う機械設備の緊急修理や据付、技術トラブルシューティング、安全点検、国際会議の運営支援など、不可欠かつ緊急を要する作業に従事する外国人に認められている特例制度である。正規の労働許可証(ワークパーミット)の取得には通常数週間から数か月を要するが、本制度を利用すれば、所定のオンライン届出と受領確認を経ることで、最長15日間にわたって合法的に現地での作業に従事することができる。
ただし、雇用局はビザ免除での入国が原則として観光目的である点を改めて強調している。一般的な商談や定期的な社内ミーティング、市場調査、契約締結など、緊急性や高度な技術的不可欠性が認められない通常のビジネス活動については、観光ビザ免除枠での入国による業務遂行は認められない。こうした通常の商用目的で渡航する場合は、タイ国外のタイ大使館や領事館であらかじめ就労・商用ビザ(ノン・イミグラントBビザ: Non-Immigrant B Visa)を取得するか、APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)を利用する必要がある。
読者が実際に緊急就労届を利用する場合、タイ入国後の作業開始前に、雇用局の電子就労許可システム(e-Work Permit: eworkpermit.doe.go.th)を通じてオンライン申請を行わなければならない。タイ現地の受け入れ企業が事前にシステムアカウントを登録した上で、緊急作業の具体的な内容や理由を記した招請状、日程表、機械の故障状況を示す技術報告書、パスポートのコピーなどの必要書類をアップロードして申請する。当局の審査を経て電子受領証(Form BT.34)が発行されて初めて就労が認められるため、申請前や審査中に現場で作業を開始することは違法となる。
電子システムの移行期における障害等に配慮し、バンコクのチャムチュリスクエア(Chamchuri Square)18階にある外国人ビザ・就労許可ワンストップサービスセンター(OSOS)や各県の労働局窓口での書面提出による救済措置も2026年10月28日まで維持されている。無届での就労が発覚した場合は、不法就労として外国人本人に最高5万バーツの罰金や国外退去処分が科されるほか、雇用側の現地企業に対しても外国人1人あたり1万〜10万バーツの罰金が科されるため、短期出張者を迎える企業は渡航前の厳格な手続き確認が不可欠である。
Refs.