タイ商務省、名義貸し防止で登記審査を厳格化 3か月分の預金証明を義務付け
タイ商務省事業開発局(DBD)は、外国人事業法(FBA)に基づく外国人名義貸し(ノミニー)の根絶に向け、会社登記手続きの新規則を定めた通達第2/2569号の本格運用を開始した。8月1日以降、バンコク都やプーケット県、チョンブリ県など外国人投資が多い全国16の重点県において、外国人が出資や経営に関与する法人を新設または定款変更する事業者は、タイ人株主の資金源を裏付ける直近3か月分の銀行取引明細書(ステートメント)を提出することになる。
タイの外国人事業法では、小売りや飲食、サービス、不動産仲介といった幅広い業種において、外資比率の上限を49パーセント未満に定めている。これまで多くの外国人は、形式的にタイ人に過半数となる51パーセントを出資させ、実質的な支配権と利益を自らが握るノミニーの手法で規制を回避してきた。当局はこれまでも旧通達によって段階的な規制強化を進めてきたが、今回の通達第2/2569号により、従来の通達第2/2568号および第1/2569号を完全に統合・改訂し、設立時から設立後の変更手続きに至る事業ライフサイクル全般を対象とした厳格な審査網を敷いた。
新基準の対象となるのは、外国人が出資比率0.01パーセントから49.99パーセント未満を保有する合名会社・合資会社・株式会社の設立登記、および外国人を代表取締役や署名権者として新たに迎え入れる変更登記である。出資するタイ人株主全員に対し、出資金の引き出しや送金履歴が確認できる過去3か月分の銀行口座明細書の提出が求められる。さらに、会社側で出資金を受け入れた口座の入金明細書に加え、所定の書式による「投資説明書」の添付が義務付けられた。設立後1年以内に株主構成や取締役を変更する場合も、実際の出資金受領証明の提示が必要となる。違反が認められた場合、タイ人名義人および関与した外国人の双方に最高3年の禁錮刑、または10万〜100万バーツの罰金が科され、裁判所から事業停止や法人解散命令が下される。
バンコクなどで日系企業や現地法人を運営する事業者は、自社の株主名簿やタイ人出資者の実質的な支払い能力、資金移動の記録を速やかに再確認することが求められる。特に増資やタイ人株主間の株式譲渡、外国人役員の追加といった登記変更を控えている企業は、申請前に法務代理人や公認会計士と協議し、通達所定の投資説明書や銀行明細の受領証を事前に整えておく必要がある。出資資金の出所があいまいなまま申請を行うと、登記が受理されないだけでなく、重点監査の対象に指定されるリスクがあるため細心の注意を払わなければならない。
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