新しい国外退去の規則で初の適用 サムイ島の脅迫、執行猶予でも退去命令
8月に施行された国外退去の新しい規則が、初めて使われた。アヌティン・チャーンウィーラクーン首相兼内務相は9月5日、サムイ島で脅迫の罪に問われたイスラエル国籍の男性に対し、国外退去を命じる書面に署名した。
事件そのものは重いものではない。サムイ島県裁判所は、相手の生命と身体に危害を加えるという内容の文面を送ったとして、刑法392条の脅迫にあたると認定した。言い渡された刑は禁錮1か月と罰金1万バーツだったが、本人が認めたため禁錮15日と罰金5,000バーツに減軽され、禁錮の部分は2年間の執行猶予が付いた。つまり刑務所に入る必要はない。
在住者が知っておくべきなのは、その先である。刑が軽く、執行猶予が付いていても、それとは別に国外退去の手続きが進む。根拠は1956年の国外退去法5条と、2026年の首相府規則4項である。命令書には、その行いが公の秩序、善良の風俗、または公共の福祉に反すると書かれている。
この2つは別の物差しである。裁判所が決めるのは刑であり、退去を決めるのは行政である。刑が軽かったことは、退去を免れる理由にならない。今回、両者が並んで動いたことが、はっきりと示された。
不服がある場合の道も用意されている。通知を受けてから7日以内に、国外退去法8条にもとづいて首相へ申し立てができる。求められるのは命令の取り消しか、あるいは「自主的に出国せよ」という命令への切り替えである。期限が7日と短い。
タイでは8月末に、外国人の国外退去について初めて統一の規則が置かれた。それまでは省庁ごとに扱いが分かれていたものが、判断の基準と手続きの流れとして一本化されている。今回はその最初の適用例にあたる。
在住者にとっての意味は、線引きが下がったということである。これまで国外退去は、薬物や重大な犯罪といった話として受け止められてきた。今回は、送った文面が脅迫と判断された事案である。日常の言い争いの延長で刑事の手続きに入ると、そこから在留そのものが問われる場面が出てくる。
近隣や取引先とのもめごとを、文字にして送るときは考えたほうがよい。タイでは名誉毀損も刑事事件になる。感情が高ぶったときの一通が、刑の重さとは別のところで、この国に住み続けられるかどうかにつながる。
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